[memo] 縦横混在の読みづらさ
玄兎 2008.8.27 (水曜日)
本エントリの「実例として」は構造のイメージであり、実際に則したものではありません。このように右段から左段へまたぐようなテキストは、実際には無く、全て段組ごとに独立した形になっています。「実例として(訂正版)」をご覧ください。誤った認識を与えるような表記をしてしまったことをここにお詫びして訂正いたします。
『神曲奏界ポリフォニカRPG』(以降 “SPR”)について、原作ファンの友人にローカルルールを作れとブーたれられ、仕方なく何度もページをめくってたんですが、どーにもイライラしまくって仕方が無い――なんだこの不恰好な紙の束は!
ルールブックの読みにくさについて、前にフォントの用法を間違ってるって話を書きましたが、あれはまあ図を描かないで説明できる範囲ってやつで、ぶっちゃけ手抜きです(笑)
手を抜かないで図を作って根本的にダメな部分を書いておいたほうがいい……ってか、書かずにはいられん気持ちになったので書いておきます。
縦書きと横書きが混在することで発生するストレスについて。
本読みの慣れ
本を読むことに慣れた人間というのは、紙面をパッと見ただけで瞬時に文字列の並びを識別し、読み始めるべきポイントを見つけることができます。この識別能力は、単純な文字の羅列である「テキスト」より文字と絵によって表現される「コミック」の方が、より難解であるため経験の差が現れやすく、理解しやすいかと思いますが、それは文章にもあります。
で、その仕組みですが。
人は視野に入った文章のうち、2~3 文字を見ることで文字の流れるべき方向――目の動線――を識別しています。そして流れの先頭まで一気にジャンプして、そこから流れに沿って読み進めるわけです。
その流れに逆らうことは、まるで下りのエスカレーターをむりやり上ろうとするようなもの。無駄な労力を費やすことになります。そんな無駄なことをするよう求められ、そうしなければならないということは、明確にストレスになります。
SRS 系ルールブック(文庫)の支離滅裂ぶり
たとえば SRS 系の文庫版ルールブックで、縦書きの後に続く横書き、特にスキルリストへとつながるページ構成は、以下のように読むことを求めて記述されています。
流れの異常が分かるでしょうか?
通常、横書きの文章はページ左上から右下へと流れます。
視線の自然な流れは、以下のようになるはずです。

実はこれでも無理があります。
[GOAL] に進んだ後、ページはどちらにめくればいいのでしょうか?
左ページを読んでいる間、意識は横書きのつもりで流れていますから、進むべきページは右と認識しています。
が、実際の流れは左に進まなければなりません。
ここで流れに逆らうことになり、ストレスが発生します。
結果、紙面に集中することが難しくなってしまいます。
実例として
以下のテキストは実例ではありません。あくまで構造のイメージです。
実際にはこのように段組をまたぐようなテキストはありません。
誤解を与えるような表記をしてしまったことを、ここにお詫びして訂正します。
以下のテキストを見てください。

これ、即座にちゃんと読めたでしょうか?
縦横こそ違いますが、このエントリ(横書き一段組版)と上記テキスト(横書き変則二段組版)の混在で生じる混乱と、縦書きと横書きの混在による混乱は、同じ性質のものです。節頭の「以下のテキストを見てください。」がガイドになっているので完全ではないんですが。(「以下のテキストを見てください。」の末尾から図の左端までの動線の途中に、一文字分の空白を作った行頭があるので、そこですぐに着地できる人もいる)
実例として(2008.08.28 訂正版)
以下のイメージを見てください。
見開きで書かれている、スキルリスト(内容は異なります)です。
テキストボックスは左から右へ読む横書き文章ですが、分類は右から左へと切り分けられます。
このうち右ページのテキストボックスは、前ページから続く【標題1】グループとして読むわけですが、動線は横書きであるため、習慣からまず左ページに飛びます。そして左ページの【標題2】を認識し、動線に沿ってそのまま右ページへと進んでいくと、本来【標題1】グループである右ページのテキストボックスを、【標題2】グループと誤認してしまうケースが少なからずあるわけです。
【標題2】直下のテキストボックスは【標題2】に属するため、余計にその傾向が強くなってしまいます。
迷走っぷり
更に、どうしようもないツッコミどころ。
「ランダム特技決定表」(p.94-95)、「特技データの見方」(p.104-105)、「アイテムデータの見方」(p.204-205)とかもーナンですかコレは。
他ページのチャートは、無理矢理にでも [右 → 左] と読み進めるような構成になっていますが、これらのページだけ左ページ(p.95)に見出しがあり、テキストは見開きに [左 → 右] の構成になっています。データの読み方については他の、たとえば「クラスデータ」(p.100-197)の冒頭 100-102 ページも、上記三種のページと同じレベルの解説ですが、こちらは縦書きで書かれています。
それからスキルリストに関しては、大判のムックと表示を合わせようと考えているのかもしれんのですが、左上から読む横書きムックと、右上から読む縦書き文庫とでは、完全に同じようには構成されていません。
ページ単位でコピーしてまとめるにしても、たとえば「戦闘特技群」とか「支援特技群」とかいったカテゴリの見出しの配置がノイズになってしまうことになります。(文庫では右上、ムックでは左上の配置)
なんでこんな統一性のない構成なんですか。
もしかして既存の文庫版ルールブックの縦書きテキストと、ムック版の横書きデータとをバラバラに持ち込んでパッチワークして本作ってますか。
まさかそんな手抜き商売してないですよねと聞きたい。
まとめ、というより愚痴
どうしても縦書きと横書きを併用したいのであれば、右開きの縦書き「ルール」、左開きの横書き「チャート」に分けて構成するとか、なんかこう他にもやりようはあると思うわけです。それはそれで余分にページ数を食うし、あまり効率的ではないんですが、少なくともこんな、動線をメチャクチャにして読み手にストレスを与えるような構成にはしないで済むんじゃないかと。
SW2.0 と SRS、ゲームとしてのデザインはともかく、ルールブックのデザインは SW2.0 に軍配あがりまくりだと思いますがどうか。[*1]
……あースッキリした(笑)
2008.08.28 : 「実例として」を [del] 処理し、「実例として(訂正版)」を追加。
- [ルールブックのデザインは SW2.0 に軍配あがりまくり] = グラフィカルデザイナーが在籍する F.E.A.R. の SRS の方が、見栄えの悪いルールブック作るってのは恥ずかしいというか情けない……というのは期待しすぎ? [↩]


[ws][trpg]ルールブックレイアウト論
なんでも最近はルールブックのレイアウトが話題とか。読みやすいルールブックへの提案から5年以上経ってますし、DTPも進化した気がします。また何か調べてみようかしらん。
[...] 前エントリ『縦横混在の読みづらさ』の中で、「実例」として提示されているものが実際のものとは大きく異なるものでした。 構造のイメージについて説明したかったのですが、不 [...]