[memo] 縦横混在の読みづらさ
本エントリの「実例として」は構造のイメージであり、実際に則したものではありません。このように右段から左段へまたぐようなテキストは、実際には無く、全て段組ごとに独立した形になっています。「実例として(訂正版)」をご覧ください。誤った認識を与えるような表記をしてしまったことをここにお詫びして訂正いたします。
『神曲奏界ポリフォニカRPG』(以降 “SPR”)について、原作ファンの友人にローカルルールを作れとブーたれられ、仕方なく何度もページをめくってたんですが、どーにもイライラしまくって仕方が無い――なんだこの不恰好な紙の束は!
ルールブックの読みにくさについて、前にフォントの用法を間違ってるって話を書きましたが、あれはまあ図を描かないで説明できる範囲ってやつで、ぶっちゃけ手抜きです(笑)
手を抜かないで図を作って根本的にダメな部分を書いておいたほうがいい……ってか、書かずにはいられん気持ちになったので書いておきます。
縦書きと横書きが混在することで発生するストレスについて。
本読みの慣れ
本を読むことに慣れた人間というのは、紙面をパッと見ただけで瞬時に文字列の並びを識別し、読み始めるべきポイントを見つけることができます。この識別能力は、単純な文字の羅列である「テキスト」より文字と絵によって表現される「コミック」の方が、より難解であるため経験の差が現れやすく、理解しやすいかと思いますが、それは文章にもあります。
で、その仕組みですが。
人は視野に入った文章のうち、2~3 文字を見ることで文字の流れるべき方向――目の動線――を識別しています。そして流れの先頭まで一気にジャンプして、そこから流れに沿って読み進めるわけです。
その流れに逆らうことは、まるで下りのエスカレーターをむりやり上ろうとするようなもの。無駄な労力を費やすことになります。そんな無駄なことをするよう求められ、そうしなければならないということは、明確にストレスになります。
SRS 系ルールブック(文庫)の支離滅裂ぶり
たとえば SRS 系の文庫版ルールブックで、縦書きの後に続く横書き、特にスキルリストへとつながるページ構成は、以下のように読むことを求めて記述されています。
流れの異常が分かるでしょうか?
通常、横書きの文章はページ左上から右下へと流れます。
視線の自然な流れは、以下のようになるはずです。
実はこれでも無理があります。
[GOAL] に進んだ後、ページはどちらにめくればいいのでしょうか?
左ページを読んでいる間、意識は横書きのつもりで流れていますから、進むべきページは右と認識しています。
が、実際の流れは左に進まなければなりません。
ここで流れに逆らうことになり、ストレスが発生します。
結果、紙面に集中することが難しくなってしまいます。
実例として
以下のテキストは実例ではありません。あくまで構造のイメージです。
実際にはこのように段組をまたぐようなテキストはありません。
誤解を与えるような表記をしてしまったことを、ここにお詫びして訂正します。
以下のテキストを見てください。
これ、即座にちゃんと読めたでしょうか?
縦横こそ違いますが、このエントリ(横書き一段組版)と上記テキスト(横書き変則二段組版)の混在で生じる混乱と、縦書きと横書きの混在による混乱は、同じ性質のものです。節頭の「以下のテキストを見てください。」がガイドになっているので完全ではないんですが。(「以下のテキストを見てください。」の末尾から図の左端までの動線の途中に、一文字分の空白を作った行頭があるので、そこですぐに着地できる人もいる)
実例として(2008.08.28 訂正版)
以下のイメージを見てください。
見開きで書かれている、スキルリスト(内容は異なります)です。
テキストボックスは左から右へ読む横書き文章ですが、分類は右から左へと切り分けられます。
このうち右ページのテキストボックスは、前ページから続く【標題1】グループとして読むわけですが、動線は横書きであるため、習慣からまず左ページに飛びます。そして左ページの【標題2】を認識し、動線に沿ってそのまま右ページへと進んでいくと、本来【標題1】グループである右ページのテキストボックスを、【標題2】グループと誤認してしまうケースが少なからずあるわけです。
【標題2】直下のテキストボックスは【標題2】に属するため、余計にその傾向が強くなってしまいます。
迷走っぷり
更に、どうしようもないツッコミどころ。
「ランダム特技決定表」(p.94-95)、「特技データの見方」(p.104-105)、「アイテムデータの見方」(p.204-205)とかもーナンですかコレは。
他ページのチャートは、無理矢理にでも [右 → 左] と読み進めるような構成になっていますが、これらのページだけ左ページ(p.95)に見出しがあり、テキストは見開きに [左 → 右] の構成になっています。データの読み方については他の、たとえば「クラスデータ」(p.100-197)の冒頭 100-102 ページも、上記三種のページと同じレベルの解説ですが、こちらは縦書きで書かれています。
それからスキルリストに関しては、大判のムックと表示を合わせようと考えているのかもしれんのですが、左上から読む横書きムックと、右上から読む縦書き文庫とでは、完全に同じようには構成されていません。
ページ単位でコピーしてまとめるにしても、たとえば「戦闘特技群」とか「支援特技群」とかいったカテゴリの見出しの配置がノイズになってしまうことになります。(文庫では右上、ムックでは左上の配置)
なんでこんな統一性のない構成なんですか。
もしかして既存の文庫版ルールブックの縦書きテキストと、ムック版の横書きデータとをバラバラに持ち込んでパッチワークして本作ってますか。
まさかそんな手抜き商売してないですよねと聞きたい。
まとめ、というより愚痴
どうしても縦書きと横書きを併用したいのであれば、右開きの縦書き「ルール」、左開きの横書き「チャート」に分けて構成するとか、なんかこう他にもやりようはあると思うわけです。それはそれで余分にページ数を食うし、あまり効率的ではないんですが、少なくともこんな、動線をメチャクチャにして読み手にストレスを与えるような構成にはしないで済むんじゃないかと。
SW2.0 と SRS、ゲームとしてのデザインはともかく、ルールブックのデザインは SW2.0 に軍配あがりまくりだと思いますがどうか。[1]
……あースッキリした(笑)
2008.08.28 : 「実例として」を [del] 処理し、「実例として(訂正版)」を追加。
- [ルールブックのデザインは SW2.0 に軍配あがりまくり] = グラフィカルデザイナーが在籍する F.E.A.R. の SRS の方が、見栄えの悪いルールブック作るってのは恥ずかしいというか情けない……というのは期待しすぎ? [↩]









どうも。
この記事を読んで「なるほど!」と思って比較してみたんですが。
圧倒的にソードワールドのほうが読みにくいです。
これは僕だけかもしれませんが、縦書きだろうが横書きだろうが、文庫は「左をめくる」という感覚が身体に染み付いているようです。
また横書きでも、べたっと横に書いてあるより、SRSのような2段書きのほうが読みやすいです。
うーん、記事の内容はただしいと思うのですが、本能が裏切っています。
それと、スキルなどは別として、文章としては、視線の動きはどちらかというと、後者(縦書きは右から、横書きは左から)になっていると思います。
で、見開き全体で説明したいときは、全体に左から右に読めるようになっているかと
すいません、個人的主観で。でも、右をめくるのは抵抗があるのです。
これは僕だけでしょうか?
はじめまして。
読ませて頂いて少し気になる点があったので書き込ませて頂きます。
「実例として」に挙げられた読み辛さは、SRS系ルールブックの読み辛さの説明例としては不適切ではないでしょうか?
例に挙げたテキストの読み辛さですが、これは横二段組で、なおかつ文章が続いている事によるものです。
それに対しSRS系ルールブックでは、横二段組になっている箇所は左右それぞれの段で独立し、またがった文章になる事はなかったように思います。
ですから、実際にはない形での読みづらい「実例」とやらと出して評するのはF.E.A.R.にフェアではないんではないかと思うしだいです。
@水無月冬弥さん
コメントありがとうございます。
まあ半ば以上が単なる愚痴なんで、いくらでも個人差は考えられる話です(笑)
元々「本を読む」って行動自体が、生物としての人間が最初から持ってる能力ではないので、訓練次第で特性はマチマチになると思います。
うーむ、文庫は左をめくる感覚ですか。なるほど。
確かにその感覚でいくと、SW2.0 は読みづらいんだろうなぁ。この辺はたぶん習慣の差異が出るんだと思うんですが。
たとえば文庫を左手に片手で持って読む人は、右から左へ進む縦書きの方がラクです。ページめくるときに親指をちょっとずらすだけでいいから。そうした点まで見ると、途端に個人差が大きくなるんで、巨視的には一概に「これが正解」っていうものは無いことだと思います。(例:「左手片手持ち」は、手がそれなりに大きくないとすぐに疲れる)
横書きの段組の差については、文字の大きさが絡んでいて。
小さい文字で書かれている場合、ルーペを当てるように視野を絞り込んでいく性質があります。判読するために目を近付けるから、相対的に視野も狭くなってしまうわけです。新聞が細かく段組されているのと同じ。(これは視力の違いも関係してくるわけで、やっぱり個人差が大きい)
で、そうすると横長にズラーっと続いた文章は、一発で視野に収められず、目を動かすんで「読みづらい」と識別される結果になります。僕も眼鏡をかけていないときは、二段組版の方が読みやすい場合があります(笑)
改めて読み直してみると、かなり酷い部分があって、フェアじゃない部分もかなりあるので、後で訂正記事をアップしたいと思います。
@こたくさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
ご指摘のとおり「実例として」については、実際のものとは異なっています。構造上の話を分かりやすく説明しようとしたのですが、個別のテキストにこのような表記は無く、まったく実例とは異なっています。
後ほど、改めて訂正記事をアップしたいと思います。
申し訳ありませんでした。
>例:「左手片手持ち」は、手がそれなりに大きくないとすぐに疲れる
主観的解釈はともかく大嘘はやめてください。
私は男で並の女性よりも小さな掌をしていますが、幼少時から文庫に限らず本の類は左手で持ち、右手でペンを持ってチェックやメモを取るのが日常です。
あなたの論理だと私は本を持つことすら困難な存在と言うことになります。それに日本人の場合、表向きの5%、潜在的には15~20%が左利きと言われていますが、あなたの言葉だと「世界は右利きの人間以外は存在しない」と断言しているも同然です・
どういう意図であれ、論拠不明の言葉を一般論として語るのは愚の骨頂ではないでしょうか? 少なくとも手文庫型SRSの記述よりもSW2.0を読み難く感じ、女性よりも掌がが小さく左利きの私には己の存在をも否定しているように感じられました。
@SRSさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
>>例:「左手片手持ち」は、手がそれなりに大きくないとすぐに疲れる
この点については「手がそれなりに大きくないと」ではなく、「握力がある程度は無いと」とするべきでした。
訂正させていただきます。
> あなたの言葉だと「世界は右利きの人間以外は存在しない」と
> 断言しているも同然です・
申し訳ありませんが、この点については反論させてください。
僕は右利き、左利きについてまで言及してはいません。
確かに左利きであれば、右利きの人より握力は強いことが多いかと思いますし、そうであるなら上で訂正させていただいたとおり、疲れを感じるまでの時間も長くなるとも考えられます。ですが僕は、利き手や、「右手でペンを持ってチェックやメモを取る」といったスタイルについては言及していません。書いていない事柄にまで責任を取ることは出来ない点、ご理解いただきたく思います。
しかしこのエントリが一般論のように書かれていると感じられ、またそれによってご不快に思われたことについては、申し訳ありませんでした。
冒頭、筆者註として書いているとおり、このエントリの内容は客観的な内容ではないこと、またこのエントリには、手の小さい方や、左利きの方たちの存在を否定するような意図は一切ないことを、ここに明記しておきます。
[ws][trpg]ルールブックレイアウト論
なんでも最近はルールブックのレイアウトが話題とか。読みやすいルールブックへの提案から5年以上経ってますし、DTPも進化した気がします。また何か調べてみようかしらん。