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 前回のエントリ(勝手に”SYSTEM”イメージ(笑))に関して、トラックバックで諸々のコメントをいただきまして。
 いや、もう随分と勝手なこと書いちゃってスミマセン(汗)
 そして 25日過ぎまで待てずにスミマセン(笑)

 ということで、今回はいただいたご意見の中から

ヒントは第一章の
イベント表にある。

 これをセッションごとに並べていくわけである。
このイベント表には障害ポイントを割り振る形になる。
 障害は依頼であり、モンスターであり。壁であり、土砂崩れであり、地域特有の風習であり、その地方の気候だったりする。
世界観に沿ってフェアにシナリオ作成できる。
RPG熟練者が良くやっていたことだ。

 に絞って想像してみます。

シナリオ構造の分解手法

system_scenario_modeling0

 使用されている基幹技術はシンプルで、だからこそ強固で応用のきくものなんで、”SYSTEM” に触れる触れないに関わらず、知っておいて損はないものだと思います。(ベテラン勢にとってはコモンセンス?)
 まあとにかく簡単なグラフィカルイメージを作ったので、見てもらった方が早いかなと。(右図)

 このローソク足の並んだ図は、なんだかまるで株式相場のチャートを見ているような、妙な気分になってくるわけですが(笑)

 この図では、一部で本来すべき分解が行われていませんし、本来ヒゲの方に書くべき属性についても実体の中に書いてしまっています。
 ですからまあ正確な図ではもちろん無いわけですが、「ローソク足の実体が割れると、その中には複数のローソク足が入っている」という、イベントの細分化イメージを図示したかったので、敢えてその辺は目をつぶっています。

“SYSTEM” のイベント処理を想像してみる

 上記のようなシナリオ・イベント分解手法をシステムに組み込むことを考えると、たぶん下図のような処理になるのではないかと想像されます。

system_scenario_modeling1

“SYSTEM” の特性を想像してみる

 前述の処理図式は、以下のような特性を想像して作成されました。

  1. このローソクの一つ一つをイベントとして【障害ポイント】が割り当てられる。個々の障害ポイントは、キャラクターの描写シートのパラメータと各種カードでクリアする。
  2. 高レベルキャラクターは高レベルのイベントに直接アクセスできるので、低レベルのイベントをいちいちクリアしなくてもいい。
  3. また障害ポイントが高くてクリアできないイベントは、細分化して複数の低レベルイベントに分解し、それらをクリアすることで高レベルのイベントひとつを達成したのと同じ結果を得ることができる。

 これが正しいのかどうかは分かりません。
 なんせ勝手な想像ですから(笑)
 ですがこれが正しいと仮定するなら、『Aの魔法陣』と同軸の汎用性を持ったフレームになるだろうと思われます。
 えーと、個別に追ってみると……

2. 高レベルキャラクターは高レベルのイベントに直接アクセスできるので、低レベルのイベントをいちいちクリアしなくてもいい。

 たとえばあるシナリオにおいて高レベルキャラクターとされる砂漠の国の王が、海の彼方のジャングルでしか採れない果実が食べようとするならば、王はそれを入手し届けてくれる貿易商なり探検家なりに命じて、あとは待つだけのことです。このとき王のアクションは「命令する」の一つだけです。
 しかし、低レベルキャラクターである同じ国のただの市民がそれを食べたいと願うなら、自ら採りに行くなり、万金を積んで王の真似事をするために一攫千金の投機をするなり、多くの苦難が待ち受けています。このとき市民のアクションは、多く複雑なものになるでしょう。

3. また障害ポイントが高くてクリアできないイベントは、細分化して複数の低レベルイベントに分解し、それらをクリアすることで高レベルのイベントひとつを達成したのと同じ結果を得ることができる。

 [2]の裏返しですが、多くのイベントをクリアすることで、ただの市民にも王と同じことが実現できることになります。

 従来、これらの表現はシナリオやロールプレイで解消されるものでした。それは典型的な遊び方を続けている限りは問題にはならないのですが、そこから一歩でもはみ出してしまうと、途端に不満要素となることもあります。
 たとえば多くのシステムでは個人単位での戦闘処理について精密なものが築かれてきましたが、集団単位での、例えば軍隊を将いての戦闘となると、途端にシナリオの都合だけで決定されることが通例です。これを解消するためには、集団戦闘用のルールを別に用意する必要がありました。[1]

特異点への挑戦

 TRPG のシステムをデザインするとき、いわゆる「耳かきから宇宙船まで」――極小から極大を同列に扱う――を実現するのは非常に困難です。

 たとえば単純に、耳かきで叩いたときと、宇宙船が衝突したときのダメージを正しく判定しようとしたときの数値の開きは膨大になります。耳かきを 1 の固定値としても、宇宙船は何万どころでは足りない値になるでしょう。
 これを一つのランダマイザで表現することは、現実的ではありません。たとえば 1d100,000 なんてダイスは有りませんし、通常、どうにか入手可能な最大のサイコロ d100 で 10万を求めようとすると 1,000個振らなければならないことになります。実際には、たとえば ×1,000 など係数を掛けることで表現することも可能ですが、求められる数値はかなり精度の粗いものになってしまいます。

 また、前述の個人戦闘と集団戦闘の差に代表されるように、判定は基本的に個人規模で行われますが、たとえば 100人が幅 3メートルの川を飛び越えることができるか? といった課題について、いちいち 100回も判定をするのはナンセンスです。
 そこで例えば 50人単位で 2回判定し、失敗した場合は更に 5d10 を振って失敗した人数を決める、などの簡易的な処理を行いますが、これは本来のルールからは逸脱したものと言えます。(そうした問題を吸収するため臨機応変に判断することがゲームマスターの役割でもあるのですが、これは言わば“ゴールデンルール”の領域に属し、ゲームマスターの負担となります)

 この「判定することが現実的ではなくなる/無意味となる」臨界点を【特異点】と呼びます。

 多くのシステムがこの【特異点】から目をそむけ、あるいは見据えた上で、その臨界点に及ばない範囲でメカニズムをデザインしています。それが TRPG の深化を進めることにもなりましたが、同時に TRPG の限界となってもいます。
 これまでこの臨界に挑んだタイトルもありました。まず『TORG』が[2]、そして『Aの魔法陣』が[3]が挙げられるかと思います。(他にもあるかもしれません)

 今回この想像が的外れてなかった場合、”SYSTEM”ではそもそも特異点が発生する状況に陥らないようルール面から制限することで、事実上、特異点が目の付くところに出現しないような構造になるんじゃないかと考えられます。
 実際のモデルがどうなのかは分かりませんが、この特異点問題によって表現の幅に制限ができてしまうことには個人的に不満がありますので、その突破を目論んでいるとするなら、期待せずにはいられませんで。ハイ。

  1. [集団戦闘用のルールを用意する必要がありました] = これを早い段階で解消したのが『Tunnels&Trolls』の戦闘システムでした。集団戦闘の援用で個人戦闘が処理できる、というのは現在でも輝きを失っていない。 []
  2. [まず『TORG』が] = 評価数理を対数にすることで、従来の直線的なリアルデータの弊害――ランダマイザの臨界と事実上の無効化――を減少し、リアルデータの極端な差を相当なレベルまで吸収している。 []
  3. [そして『Aの魔法陣』が] = 『Aの魔法陣』では根源力にかかる係数によって特異点を可変にし、また判定値を成功要素として細分化すること、協調行動などによって多くの特異点を解消している。 []
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3 Responses to “[Review][system] 勝手に”SYSTEM”想像図(2)”

  1. system より:

    第八章を仮追加

    老師です。 玄兎さんが再び分かりやすい図で書いてくれた。 ありがたいことである。

  2. G&G, Inc. blog より:

    [T&T]呪文ルールまわりの話――ゲームスケールの指数関数的な跳躍

     久々に個別システムの話。今回はT&T。  最近知ったのですが、『トンネルズ&トロールズ』第7版の呪文強化は、5版のそれとまるで違っています。  今回はそれを計算表込みで分析…

  3. [...] す。 (この「課題の切り分け」と「小さい課題のクリア」という流れは、前に「勝手に“SYSTEM”想像図(2)」で図示したことがありますんで、興味があったらそっちも併せて読んでみてく [...]

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