Feed on
Posts
Comments

 kei氏が起こしてくれた雑談ログを、B.W氏のところでネタにしていただいたので、気を良くして(笑)別のアプローチを紹介。

 B.W氏はシナリオを書くために役割配置を使う、正統派のアプローチをしています。エントリで行ってる思索は興味深いので、物語の筋書きを作る方法論についてアレコレ検討されている方は、一読の価値があるかと。(しかも「配役した情報をバックヤードに送る」ことまで言及してる点とかナイス)
 で、まあ正統派のアプローチはああした方法論でいいと思いますので、そっちはちょっと置いといて、今回はアドリブセッションでこれを使う方法について、簡単に紹介してみようかと。
 最初っからアドリブセッションのやり方なんか覚えちゃってもアレなんですが、まあ猫道的に(笑)

そもそものキッカケ

 アドリブマスターというと、あんまり好意的に思われてなかったりもしますし、実際その「アドリブ」というのは「何も準備していない」だけという人もいるので、それも仕方が無かったりするわけですが。
 昔、オンラインセッションのサイトで遊んでた頃、突発的にセッションを立ち上げなければならないことがありまして。ところがそうそうシナリオのストックなんてあるもんじゃない。でも物語をそれっぽくでっち上げなければならない。そんなことがありました。
 ……まあそんなときに無理にセッションやらんでも良いとは思うんですが(笑)
 それでも一応、乗り切る方法として自分が使っていたものを、ちょろっとご紹介。(当時はここまで厳密に整理してたわけでもないんですが)
 言うは易し、行なうは難し、かもしれませんが。

アドリブで物語をでっち上げる方法

 これは「メタ時間(=プレイ時間)」をベースに「物語上の役割」を NPC に割り振る技術です。
 そのためには、まず「物語上の役割」が、メタ時間のどこで登場するのが良いのか? ということを知っておく必要があります。

登場人物の登場する場面

 このパターンはいくつかのバリエーションがあるかと思われますが、ここでは僕が典型的と考えるパターンを提示しておきます。[1]

scenario_npc_role

登場人物の役割

 ここで登場する役割は、概ね以下のようなキャラクター、イベントに変換されます。

  • 主人公 = PC。
  • 協力者 = PCに積極的に協力してくれるNPC。
  • 敵対者 = クリアすべき課題、シナリオの進展を左右する判定。
  • 犠牲者 = PCのモチベーションを形成するイベント。
  • 依頼者 = シナリオの方向性や選択肢を提示する。
  • 援助者 = 助言、判定の代行、リソースの回復など。
  • 対抗者 = 具体的にPCを妨害するイベント、NPC。山場。ボス。

 役割の分け方がちょっと名前とイメージ違うぞ、と思う方もいるでしょう。この点については今回ちょっと編集をかけていて、ぶっちゃけた話「正しくない」配分です。“おはなし”に転用する場合はちょっと気をつける必要があります。[2]

 ここで大きな編集をかけているのは〔対抗者〕です。
 従来の“おはなし”では、〔対抗者〕=ライバルというのは「〔主人公〕と同じ目的をもって〔敵対者〕と対峙する人物」であり、またその行動は〔主人公〕の道程をなぞり、最終的には「〔主人公〕の地位や功績、獲物などを横取りしようとして敗北する」という役割になります。
 こうした〔対抗者〕という役割は、“おはなし”に別の視点を導入することで観客に多角的な視点を提供すること、また「予測」と「緊張」を演出するのに役立ちます。しかし TRPG は PC の主観によって物語を描く、視点を固定した文法が一般的ですから、全てのシナリオに適用できるわけでもありません。[3]
 プレイヤーが主観的に物語に関わる TRPG の手法では、第三者としての観客とは物語に対する姿勢、性質が異なります。そうした点を鑑みたとき、旧来的な〔対抗者〕の存在は必ずしも必要ではないだろうなと考えています。[4]
 そうした事情から、ここでは〔対抗者〕を〔敵対者〕の補強材料として編集しています。

用法

 以上が“おはなし”における時間進行と登場人物の役割配置テンプレート、その一例になります。

 このようなテンプレートを逆用し、ゲームのプレイ時間に合わせてシーンに意味を配置し、またその登場人物に役割を割り振ることで、いかにも“おはなし”っぽい体裁を整えることが出来ます。
 たとえば「そろそろ導入終わらせないとマズい時間だな。じゃあそろそろ〔犠牲者〕を出すか」とか、「導入終わってちょっと経ったし、そろそろ〔対抗者〕を出して目的を明確化しとくか」とか、更には「このあたりで目的が分からなくなっても困るし、それじゃあ今しゃべってる NPC を〔対抗者〕にしちまおう(笑)」とかいった処理が可能です。

 また、全然関係なかったはずの登場人物が、実は重要な役割を持っていた! というのは、これまた典型的などんでん返しの手法です。
 たとえば酒場のウェイトレスが、パン屋のオッサンが、学校の先生が、どこにでも居そうな小悪党が、実は重要な情報を握っていたり、唐突に PC を罠にはめたり、〔協力者〕だと思ってたら〔対抗者〕だったりするわけですから、とりあえずプレイヤーの意表を突きやすくなります。
 使いすぎると車田正美か宮下あきらかってノリになっちゃうんですが(笑)

 これだけではフルアドリブは無理なので、物語のテンプレート、パターンは別にデータベースを構築しておく必要がありますが、配役に意外性を与えてスラップスティックに遊ぶ、ひとつのテクニックとしては意外と使えるんじゃないかと。
 あと、基本的にはゲームマスターはちゃんとシナリオを用意してセッションに向かうべきだと思いますんで、あんまり手抜きなテクニックばっかり覚えちゃってもアレかなーと思ったり(笑)

  1. [役割配置パターン] = ここで提示しているパターンは戯曲、映画などを分析、パターン化したもの。多くの物語がこのパターンに沿っていると思われるが、当然、パターンから外れた例外もある。 []
  2. [おはなしに転用する] = “おはなし”の文法は『ペテン師が憂鬱。』の方で書くかも? []
  3. [多角的/主観的な物語] = 近年では F.E.A.R. の「マスターシーン」が、多角的視点による文法を提案している。また、旧来的なゲームマスターの「ぶっちゃけ」も、原理的には同じ。 []
  4. [対抗者は必須ではない] = もちろん対抗者を配置したシナリオも作れるが。 []

Comments are closed.