[Column] ○○みたいなのがやりたい ~ 第二世代シナリオの話
玄兎 2008.12.11 (木曜日)
【修正前】そのままでは「TRPG の楽しみ方」としては天井が低い(すぐに限界が来る)
【修正後】そのままでは「シナリオをデザインする楽しみ」としては天井が低い(多くの分岐を想定する労力は大きいが)
本エントリは当初予定していた決定稿ではなかったんですが、コピペミスとはいえ出しちゃったモンは撤回のしようもないので、最低限ここだけの修正としておきます。
ウチの長男が誰に似たのか TRPG 始めちゃったのは、前に書いたと思います。
で、その担任教師に TRPG ってどんな遊びかを説明した話も書きました。この先生とはゲームの〈対話〉手法を授業に取り入れる方法やら何やらについて、週イチくらいでくっちゃべってますがまあソレはいいとして。
さて問題はその次だ。
「ソウルイーターみたいな話がやってみたいんです」
長男のゲーム仲間に相談されました。
「ソウルイーター[*1] みたいな話をやりたい」と。
あ、もちろん TRPG で。
ソウルイーターSRS?
考えてみると、『ソウルイーター』って SRS 系が似合いそうなんですよね、なんか。
魂の共鳴は『神界奏曲ポリフォニカRPG』の絆システムで出来そうだし。
バトルは『アリアンロッド』のデータ量でフォローできそうだし。
あの手の必殺技タイプのバトルマンガは、SRS にコンバートしやすそう。
作ってみようかなァ。
そしたら「ぼくの考えたひっさつ技」的に、ワイワイ作れて楽しそうだし。
まあ、不安振くん[*2] みたいに勝手に「俺TSUEEEEE!!」なデータ作ってくるボーヤが現れると困るんだけど。
……て、ア。脱線してら。
そうじゃなくて、「○○みたいな話がやりたい」の方だ。
○○みたいな話がやりたい
ブラックスターが好きらしいです。可愛いらしい(何)
まあ「『プラネテス』[*3] みたいな~」とか言われなくてよかった(笑)
パターンの壁
『ソウルイーター』に限らず「○○みたいな話をやりたい」、言い換えれば「真似したい」ってのは、意外と大変だったりします。
真似をするためには、まず対象の法則性、いわゆる〈パターン〉を抽出しなけりゃいけない。
モノマネするときも、その対象となる人物が「よく言うセリフ」とか「よくやる行動」を真似する、言い換えれば「あるあるネタ」をやるわけで。(いや「微妙すぎて分からないモノマネ」は〈パターン〉から逸脱してるけど)
で、自分が一人でやるならまだしも、TRPG ってな参加者全員でお話を作るわけで、そうすると参加者の過半数に〈パターン〉の共通認識が必要[*4] で、それが無いと簡単に脱線しちゃうんですよね。
脱線したり復旧したりを繰り返すことで、元ネタとは異なる「自分だけの物語」を形成できるのが TRPG の面白さの一つだとは思うんですが、果たして彼女がどこまでソレを受容できるか? って話にもなるわけで。
うーん。これは意外と難題だ。
とりあえずの対策
今回、対策として選んだ手法は二つ。
- 僕がゲームマスターする
- 「ソウルイーターみたいな〈ドラマ〉」は付録にする
1. 僕がゲームマスターを担当する
一つ目は、単純に僕が『ソウルイーター』見てるから。
まあ、コミックスの展開を追いかけなきゃならんとかだとアレですが、話した感じでは序盤のエピソードだけで十分っぽいので、たぶんフォローできるだろうと。
少なくとも、いきなり彼女自身や他のメンツに任せるよりは、フォローできる率は高くなると思うし。
それで上手いこと他のメンツが『ソウルイーター』に興味を持ってくれれば、それはそれでやりやすくもなるだろうし、データが取れれば他の誰かにゲームマスター任せるためのシナリオも書けるようになる……かもしれないし。
2. 「ソウルイーターみたいな〈ドラマ〉」は付録にする
二つ目は、他のメンツが『ソウルイーター』知らなくても遊べるように。
前エントリ『シナリオ世代論』の分類で言えば第二世代、〈ストーリー〉+〈ドラマ〉型のアプローチになります。今回の場合、『ソウルイーター』っぽいイベントを仕込んでおいて、やりたかったら乗っかってね、という。
これならゲームマスターと、その遊び方をしたいプレイヤーだけが知っていれば済みますんで。
第二世代シナリオの利点
んでまた脱線しますが。
しかも脱線しっぱなし。
『シナリオ世代論』のコメント欄で haru3 氏が指摘してくれたとおり、第二世代の手法はプレイヤーのソロプレイのような性質が強く、他のプレイヤーと絡みづらいケースが少なからずあるので、そのままでは「TRPG の楽しみ方」としては天井が低い(すぐに限界が来る)「シナリオをデザインする楽しみ」としては天井が低い((多くの分岐を想定する苦労の方が大きい))[*5] と考えてます。
ただまあ「ちょっとやってみたい」、という程度であれば十分に欲求を満たすことができる手軽さが利点で、その辺は目的に合わせて選択的に運用すればいいわけで。
それで楽しそうにプレイしているのを、他のプレイヤーが「仲間外れにすんな。自分も混ぜろ」と能動的に入ってきてくれればシメタモノ。
このとき「他のプレイヤーが入ってくると〈パターン〉が崩れるから排除する」のではなく、「崩れた〈パターン〉に乗っかる」とか「崩れた〈パターン〉を立て直そうとする」という方向でプレーを続けられると、どんどん他のプレイヤーを飲み込んでいくことが出来るわけで。
まあそれが狙いです。
「第ゼロ話」ってヤツ
意図せずキャンペーンが発生するときは、いつも大体そんな感じで始まってるんですよね。
群像劇ってやつが好きなので、プレイヤーそれぞれが遊びたい〈ドラマ〉を勢力に分けてコンクリフト(衝突)させれば、当然、一回のセッションで解決できるわけもなく。
結果として、ごく自然にキャンペーンになっちゃう(笑)
いわゆる「第ゼロ話」ってヤツ。「運命のトリガー」とも言いますか。
キャンペーンのために用意されたシナリオじゃないんで、マンガで言えば「読み切り」ですね。
アンケート結果が良かったら連載しましょう、というパイロット版。
プレイヤーも、遊んでみてキャラの実感を確認してから始められるんで、最初から「キャンペーンやりましょう」より気楽に始められるのが強みです。
これは第三世代シナリオより脆くて、上手くいかないと簡単にポシャるんですが、始まってしまえばプレイヤーの「自分も混ぜろ」というモチベーションを核にしてキャンペーンが構成できる分、第二世代を基点とするモノの方が強固な構造体として長く遊べる……ってのが経験からくる見解です。
プレイヤーのモチベーションを核にしてるので、「どんなシナリオが遊びたい?」とか「どんなイベントが欲しい?」とか聞いたときの返答率が高いのも強みですね。そうしてオーダーがあれば、その分だけシナリオの準備がラクになるわけで(笑)
もちろん第二世代シナリオを基点にしたキャンペーンでも、それが群像劇となり、キャラクターごとの立脚点が明確になるに従って第三世代シナリオの記述式にシフトしていくこともあるワケで、単にスタート地点の問題なんですけどね。
余談 : 第三世代シナリオの窮屈さ
最初から「キャンペーンをやろう」ということでキャラクターをしっかり作りこんでおくと、実際に遊んでみて「やりにくい」となったときにリカバーするのが大変で、そのままズルズルとやりにくいキャラクターを使い続けなきゃならんというは、モチベーションを考えたときに非常にマズい。
この辺は、最初から〈ストーリードラマ〉のためにキャラクターを配置する第三世代シナリオの「窮屈さ」と言えるかもしれません。
しかしこの比較も、第三世代シナリオが「コンベンションなどで単発シナリオをキャンペーンっぽく遊ぶために開発された技法」であると考えた場合、ちょっと不公平な話だろうとも思います。
包丁と日本刀(大太刀)を持ち出して「料理に使いやすいのは包丁だ。だから日本刀はダメなんだ」と言ってるようなモンで、まあナンセンスですわな。
でもまあ第二世代型キャンペーンゲームを好んで遊んでいた古いユーザが、第三世代の遊び方に反発するのは、その辺のズレが原因なんじゃないかなァ、とか。
- [ソウルイーター] = 月間少年ガンガンで連載中のマンガ。著者は大久保篤。アニメも 2008年 4月から 1年間の予定で放送中。死神の武器「デスサイズ」を作るため、武器職人と武器(知性を持ち人間に変身できる)が悪しき魂を100個(99個の「鬼神の卵」と化した魂+1個の魔女の魂)集めましょう……というミッションを縦軸に、また「暗躍する魔女派、力を求める鬼神派、それらの撲滅を目論む死神派との闘争」を横軸にしたバトルもの。 [↩]
- [不安振クン] = Dr.モローのマンガ『RPG一代男』『RPG一発男』に登場するキャラクター。仲間の栗手軽クンらと共に『T&T』をやることになったとき、当日「ソロプレイで100レベルまで上げてきた」とのたまって本当に100レベルのキャラシーを持ち出したりする困ったチャン(笑) [↩]
- [プラネテス] = モーニングで連載されていた SF 漫画。著者は幸村誠。アニメ化もされており、こちらも傑作と名高い。これについては語り始めると止まらないんで省略(笑) [↩]
- [参加者の過半数に〈パターン〉の共通認識が必要] = 過半数いれば脱線しても誰かしらリカバーできる。もちろん全員の共通認識になっているに越したことはないわけだが。 [↩]
- 2008.12.13 12:52[JP] 訂正 [↩]
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